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Kの徒然日記です。
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☆注意☆

暗い話です。弱っている宮城なんて嫌!じめじめした話は嫌!と云う方はすっとばして下さいね。





 
 並木道を歩いていると秋が来たのだと気が付くと同時に、冬が迫っているのを感じる。赤・黄・茶色。枯れ葉の絨毯の上をパキパキと枯れ枝を踏みながら歩く。俺も忍も何も話さない。秋の匂いを吸い込み、少しずつ風の冷たさに慣れていく。良く晴れていて太陽の日差しでじんわりと汗ばんでくる。でも顔に当たる風はキリッと締まっていて冷たい。秋から冬に変わるこの季節は俺をひどく混乱させ、どうしようもない泥濘へと誘い込む。俺を捕まえようと暗闇から手が伸びてくるのだ。昔の傷が痛む。先生の「死」に対面してから俺の「生」の一部は、「死」に飲み込まれてしまった。もとから「生」と「死」は共存しているわけだが、以前よりも「死」を強く意識する様になった。だが、先生は死に俺は生きている。
 
 
並木道が終わると、こじんまりとした公園がある。たまにだが、晴れた休みの日に忍と2人でこの公園で軽く読書をする。公園に入ると子供達のはしゃぐ声があふれている。無邪気に駆けずり回る子供、その姿を眩しそうに見守る親、のんびりと散歩をする老人。どこにでもある休日の公園の風景だ。俺達はいつものベンチに座り鞄から本を取り出す。
 
「今日は人が多いな。早めに帰るか。」
「ん、そーだね。」
 
忍はそっけなく答え、読書を始めてしまった。俺も本を開き文字を追い始めた。
 
 
これからの未来に向かって生きる子供達と、「死」に向かって生きる老人達。この小さな公園の中にも「死」は「生」の一部として存在している。いや、その逆か?足下にボールが転がって来て、それを追って小さな女の子が走って来た。自然と顔が緩み笑顔を向ける。ボールを拾い、少女に手渡すと
「どうもありがとう。」
にっこり笑い、無垢な笑顔の残像だけ残し俺の前から去って行った。「ちいさきものはいとうつくし」清少納言か。子供はかわいいと思う。職場の教授達も子供や孫にメロメロだ。俺が離婚して独り者になると、周りから
 
「宮城君は子供がいないのだったな?子供はいいぞ。若い時は一人でも良いが歳をとると一人は寂しいもんだ。老後は子供と孫に囲まれてすごした方が楽しいだろう。もう一度結婚したらどうだ。」
 
なんてアドバイスを受けた。再婚なんておそらくしないだろう。一度すれば十分だ。老後ねえ、今は快適な老人ホームが沢山あるから別に心配はしていない。金さえあればどうにかなるだろう。目の前を老夫婦がゆっくりと通り過ぎる。あの夫婦は歳が幾つも離れていないのだろう、二人が同じように年をとっている。2人で一緒に老いていくのだ。俺と忍は違う。忍とは17歳もの年の差がある。確実に俺が先に老いていく。果たして30年後、俺達は一緒にいるのだろうか?老いた俺を捨て、忍は他へ行ってしまうかもしれない。そして俺はまた一人取り残されるのだ。あの時と同じように。再び暗い沼底のぬかるみをのたまうのだ。太陽が雲に隠れ、少し肌寒くなった。日差しもまったく地上に届かない。ビュウッと風に煽られ、落ち葉が辺りに舞う。ふと理沙子に云われた言葉を思い出す。
 
『庸、あんたは独りね。ずっと独りで生きるのよ。』
 
そうだ、俺は独り。沼底から俺を引きずり込もうと手が伸びて来る。このまま独りで生き、醜く老いて独りで死んでいくのだ。無数の手が俺を捕まえる。独り、一人、ひとりひとりひとりひとりひとりひとりひとり・・・
 
「おい、宮城っ!!」
 
腕を強く掴まれ、現実に引き戻される。
 
「あ・・・ああ、スマン。ちょっと考え事をしていた。」
「・・・どうしたんだよ。アンタ、今日へン。」
 
大きな茶色い澄んだ瞳で、俺の黒く暗い瞳をのぞき込む。俺の闇を覗かれている様な気がして思わず目を反らす。
 
「まぁ秋だからな。アンニュイな気分にもなるさ。乙女心と秋の空~ってな。」
 
いつもの調子で答えると、忍は小さくため息をつき読みかけの本を閉じた。
 
「またそうやって茶化す。もう帰ろうぜ。ちょっと冷えたし。」
「そうだな、帰るか。」
 
俺はどうにか暗い闇を押し込め、立ち上がった。
 
 
 
カサカサ、パキパキ。並木道を歩いていると忍が口を開いた。
 
「今日の夕飯はキャベツ炒めにする。キャベツのストックないから、スーパー寄って。」
「ハイハイ。またキャベツですか・・・。」
 
頭の中で大盛りのキャベツ炒めを想像すると、食欲も半減してしまう。やれやれ。
 
「それと、アンタの下の世話は俺がするから。」
「はい?」
 
思わず立ち止まる。
 
「変な意味じゃねーからな。アンタの老後の話。」
 
・・・・・・・。
 
「オラ、とっとと歩け。」
 
忍は俺の手を握り、ぐいっと引っ張る。その華奢な手は冷たかったが、その温度が不思議と心地良かった。今の言葉がどんなに嬉しかったかお前には分からないだろう。別に何の約束を取り決めた訳でもない。この先、その想いは変わるかもしれない。でも、今の俺には・・・。忍、愛しい忍。俺がこんなにもお前を愛しく想っている事を知らないだろう。どれだけ俺の支えになっているか。俺はこの気持ちをいつか、忍にちゃんと伝える事が出来るだろうか。大丈夫だ。まだ時間はある。ゆっくり伝えていこう。忍の手を強く握り、コートのポケットに突っ込む。
 
「何してんだよ!誰かに見られたらどーすんだ!」
 
俺の珍しい行動に忍は顔を赤くして、あたふたしている。可愛い。
 
「止めろって。」
 
そうは云ってもポケットの中から出て行く気は全く無い様だ。可愛い、可愛い、たまらなく。
 
「この並木道を歩く間くらい良いじゃねーか。恋人同士みたいだろ。」
「・・・恋人同士だろ。」
「そうでした、そうでした。」
 
目を細め忍に優しく微笑む。俺と忍は歩き出した。パキッパキパキ。いつもよりゆっくりと丁寧に。一足、一足を大切に踏み出す。忍と二人、この道を歩く。



先生が亡くなった季節に宮城は何を思うのかな~なんて。最愛の人を亡くした訳ですから、心のどこかに闇が出来ていると思います。でも、肝の据わった忍ちんが側にいるからきっと大丈夫でしょう。そんな闇はとっぱらってくれるはず。ずっと最後まで宮城と一緒にいて欲しいと思います。








拍手ありがとうございました♪拍手のみでもとーっても嬉しいです(*^_^*)

☆RICA様
ヒロさんの食事シーンは絶対にエロいですよね!!食事どころじゃなくなっちゃいますよ!RICAさんの食事シーンも堪能しますね♪楽しみです♪今はテロ熱が高すぎて、エゴ話は当分ないとは思いますが覗いてやって下さいね!主腐友が出来て嬉しいな~☆今度はゆっくり話せると良いですね。

☆美龍様
たまにはここで(笑)なんか暗い宮城話でごめんなさい(^_^;)かっこ良いだんでーな宮城は書けそうにありません。次回も宮城サイドの話です~。ちょっとエロくなりそうですので・・・ご容赦下さい。テロサイト少ないですよね!美龍さんもっとテロ話プリーズです!!
 
 
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